半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
サイラスの心
王都は、再び朝を迎えた。
学院が稼働を始めた頃、王宮の勤務も本格的に動き出していた。サイラスは、これから公務へと乗り出すため、自身の執務室で資料とスケジュールを確認していた。
必要があったので、学院は急きょ休んだ。
――この機会は逃せない。
「最近、アグスティーナ嬢は大胆になってきてるな」
思案気に机の上をトントンと指で叩きながら言えば、近くにいるコンラッドから返事が返ってくる。
「焦りがあるんでしょう。隣国との縁談話が上がっているようですから。彼女の父としては、侯爵家ではなく、王族に嫁がせたい考えのようです」
話を聞きながら、サイラスの目が別件の集まりの案内状へと向く。
これは、今から足を運ぶ軍のものとは関係がないものだった。わざわざ自ら開催有無を確認しに行き、父と兄も出るついでに自分も出せ、と言って参加権を取ってきたものだ。
『父君と兄君からも、お忙しいとは聞いております。……ご多忙なのによろしいんですか?』
あの時、家臣が目を丸くしていたのを覚えている。
学院が稼働を始めた頃、王宮の勤務も本格的に動き出していた。サイラスは、これから公務へと乗り出すため、自身の執務室で資料とスケジュールを確認していた。
必要があったので、学院は急きょ休んだ。
――この機会は逃せない。
「最近、アグスティーナ嬢は大胆になってきてるな」
思案気に机の上をトントンと指で叩きながら言えば、近くにいるコンラッドから返事が返ってくる。
「焦りがあるんでしょう。隣国との縁談話が上がっているようですから。彼女の父としては、侯爵家ではなく、王族に嫁がせたい考えのようです」
話を聞きながら、サイラスの目が別件の集まりの案内状へと向く。
これは、今から足を運ぶ軍のものとは関係がないものだった。わざわざ自ら開催有無を確認しに行き、父と兄も出るついでに自分も出せ、と言って参加権を取ってきたものだ。
『父君と兄君からも、お忙しいとは聞いております。……ご多忙なのによろしいんですか?』
あの時、家臣が目を丸くしていたのを覚えている。