半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「図書館?」
「男性の前ではしたなくズボンを見せて飛び、下の者がする作業にまで加わったとか。婚約者がいる身なのに、まるで媚びでも売るみたいにボディタッチまでされて――」

 だらだらと続くアグスティーナの言い分は、簡単にまとめると『婚約者としての振る舞いとしていかがなものか』ということであるらしい。

「未来の妻として、善行を見せるのは良いことです。しかし、少々考えなしすぎるのでは?」
「困っていたから、手伝っただけです」
「手伝う相手と状況を、お考えになるべきです。それは第二王子殿下のご婚約者様がするべき範囲内ではありません。リリア様も満足そうだった、というお噂は聞きました。なので、もしかしてリリア様は、そこまでして殿方に感謝されたいのかと、わたくし思ってしまいましたわ。まさか、そんなことあるはずがございませんけれど」

 つらつらと一方的に述べた彼女が、そこで「ねぇ」と後ろの令嬢達にひそっとした感じで言った。彼女達がひそひそ声で、何やら一言、二言を言ってくる。

 今、私と話しているのに、そこで後ろの子達に振る意味、ある?

 なんだか神経を逆撫でされた。図書館の件を言ってきたかと思ったら、殿方にチヤホヤされたいのか、などと言われて、リリアは大変ムカムカしてきた。
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