半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
おわりは、胸のトキメキとこれからの予感と共に
リリアは、森の中へと降り立った。
そのままサイラスに誘われて、大きな木の根に並んで腰掛ける
まるで本当に『話をしよう』と態度でも示されているように感じて、リリアは今更ながら緊張してきた。
「手紙の件だが、なんで送ってきたんだ? アグスティーナ嬢にきついことか、ありもしないことを言われて無理やり……だけの方が、俺には有り難い返事なんだが」
ぎこちなく切り出したサイラスが、ためらって言葉を詰まらせる。
「心底嫌になって、俺が相手だから破棄したかったのか?」
それは、とても弱った声に聞こえた。
先程、大きな妖狐姿で暴れていたリリアや、巨大なあやかしであるタヌマヌシを一喝して、色々言ってきた時の調子はどうしたのか。
リリアは、サイラスから真剣さを感じて、自分もきちんとじっくり考えた。
――そして、やがて、ふるふると小さく首を振った。
「ずっと迷惑かけていたんなら、今すぐ、破棄しなくちゃって」
なぜか、答える声が震えた。手紙を書いていた時みたいに、涙が溢れそうになる気配がして、リリアは唇をきゅっとした。
そのままサイラスに誘われて、大きな木の根に並んで腰掛ける
まるで本当に『話をしよう』と態度でも示されているように感じて、リリアは今更ながら緊張してきた。
「手紙の件だが、なんで送ってきたんだ? アグスティーナ嬢にきついことか、ありもしないことを言われて無理やり……だけの方が、俺には有り難い返事なんだが」
ぎこちなく切り出したサイラスが、ためらって言葉を詰まらせる。
「心底嫌になって、俺が相手だから破棄したかったのか?」
それは、とても弱った声に聞こえた。
先程、大きな妖狐姿で暴れていたリリアや、巨大なあやかしであるタヌマヌシを一喝して、色々言ってきた時の調子はどうしたのか。
リリアは、サイラスから真剣さを感じて、自分もきちんとじっくり考えた。
――そして、やがて、ふるふると小さく首を振った。
「ずっと迷惑かけていたんなら、今すぐ、破棄しなくちゃって」
なぜか、答える声が震えた。手紙を書いていた時みたいに、涙が溢れそうになる気配がして、リリアは唇をきゅっとした。