半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「俺は、お前以外に妻なんていらないんだ」
そこに座っているのは、本当にあのサイラスなのだろうか。拒絶もなかったのを見た彼の顔には、とても柔らかな笑みが浮かんでいて――。
体が熱い。見守るように見つめられている視線だけで、リリアは胸に火が灯って、ドキドキが全身まで広がっていくみたいに感じた。
「で、答えは?」
不意に、サイラスの微笑が、普段の勝ち気さを滲ませた。
「い、意地悪っ。いきなりで胸がバクバクして落ち着かないのに、すぐ言わせる気なのっ?」
「少しくらい、これまでの仕返しぐらいさせてくれてもいいだろう。騎士が好きだとかいうくだりで、本気で悩んだんだぞ。それに今、聞き届けないと安心できない」
これまで、互いに本心なんて言い合う仲でもなかったのに。
リリアは、まだ熱い顔でチラリとサイラスを睨んだ。
「いきなり素直になるだなんて、ずるいわ」
「実のところ、これでもギリギリだ」
先程はキスまでしてきて、その途中、大丈夫かどうか確認するみたいな余裕もあった癖に、照れ隠しなのか、サイラスが咳払いのようなことをする。
そこに座っているのは、本当にあのサイラスなのだろうか。拒絶もなかったのを見た彼の顔には、とても柔らかな笑みが浮かんでいて――。
体が熱い。見守るように見つめられている視線だけで、リリアは胸に火が灯って、ドキドキが全身まで広がっていくみたいに感じた。
「で、答えは?」
不意に、サイラスの微笑が、普段の勝ち気さを滲ませた。
「い、意地悪っ。いきなりで胸がバクバクして落ち着かないのに、すぐ言わせる気なのっ?」
「少しくらい、これまでの仕返しぐらいさせてくれてもいいだろう。騎士が好きだとかいうくだりで、本気で悩んだんだぞ。それに今、聞き届けないと安心できない」
これまで、互いに本心なんて言い合う仲でもなかったのに。
リリアは、まだ熱い顔でチラリとサイラスを睨んだ。
「いきなり素直になるだなんて、ずるいわ」
「実のところ、これでもギリギリだ」
先程はキスまでしてきて、その途中、大丈夫かどうか確認するみたいな余裕もあった癖に、照れ隠しなのか、サイラスが咳払いのようなことをする。