半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「まっ、上辺の友人なんて、姫様には必要ないですから安心してください。どうせ人間界で過ごすのも、数十年そこらもないでしょうし」
そう言ったアサギが、ツヴァイツァーへと視線を流し向けた。
「旦那様だって、数よりも質で友人を持って欲しいとお考えでしょう?」
「まぁな。俺がこの先も、ずっとそばについていられるわけではないから」
ほんのちょっとだけ、ツヴァイツァーが寂しそうに笑う。
リリアは、胸がきゅっとした。昔から、時々考えさせられてしまっていることだった。そして思い出すたび、意図的に考えまいとしていることでもある。
――いつか、人間の父を看取る日が来てしまうのだろう。
そしてリリアは、その後も、ずっと長らく生き続けるのだ。
見知った領民達も、老いて世代交代していく。そんな中で、恐らく自分だけが成人した姿で残されるのだ。
そう考えていたリリアは、アサギへと言葉を続けた父のツヴァイツァーが、へたくそな愛想笑いを浮かべるのを見つめていた。
「社交の場で気を楽に話せるような、そしてリリアを助けてくれる友人ができればいいな、とは思っているよ」
でも、そんな話してくれる人なんて、はたしてできるのか?
まだ見ぬ都会や王宮に、ずくりと不安が胸に込み上げる。
そう言ったアサギが、ツヴァイツァーへと視線を流し向けた。
「旦那様だって、数よりも質で友人を持って欲しいとお考えでしょう?」
「まぁな。俺がこの先も、ずっとそばについていられるわけではないから」
ほんのちょっとだけ、ツヴァイツァーが寂しそうに笑う。
リリアは、胸がきゅっとした。昔から、時々考えさせられてしまっていることだった。そして思い出すたび、意図的に考えまいとしていることでもある。
――いつか、人間の父を看取る日が来てしまうのだろう。
そしてリリアは、その後も、ずっと長らく生き続けるのだ。
見知った領民達も、老いて世代交代していく。そんな中で、恐らく自分だけが成人した姿で残されるのだ。
そう考えていたリリアは、アサギへと言葉を続けた父のツヴァイツァーが、へたくそな愛想笑いを浮かべるのを見つめていた。
「社交の場で気を楽に話せるような、そしてリリアを助けてくれる友人ができればいいな、とは思っているよ」
でも、そんな話してくれる人なんて、はたしてできるのか?
まだ見ぬ都会や王宮に、ずくりと不安が胸に込み上げる。