半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
それから二ヶ月ほどで、リリアの放電期はいったん収まった。
歯がむず痒くなることもなくなった。相変わらず、睡眠欲を促すような気だるさは続いていたが、体調変化のつらさは落ち着いた。
その間、王宮からの手紙はピタリと止まっていた。
「うん、犬歯もちゃんと育ってますね。まだ丸くてちっこいですが、良好、良好」
リリアの成長については、同じ妖狐としてアサギがみた。このたび彼女の放電期が本格的に始まってから、彼の正体が屋敷の者達に伝えられていた。
使用人達は、「道理で」「何となく気付いてました」と呆気なく馴染んだ。
彼の正体が明かされてからは、リリアの成長診断も、屋敷の全員が広間に集められて行われるようになった。使用人達も、リリアの成長は気にかけていたのだ。
「食事はどうします?」
四十代になったばかりの料理長が、挙手をして尋ねた。その手には、いつも通り、律儀にメモ帳と筆記道具が握られていた。
「人間の、十二歳の子供と同じ栄養バランスで結構ですよ」
アサギはそう答えてから、一同を見渡した。
歯がむず痒くなることもなくなった。相変わらず、睡眠欲を促すような気だるさは続いていたが、体調変化のつらさは落ち着いた。
その間、王宮からの手紙はピタリと止まっていた。
「うん、犬歯もちゃんと育ってますね。まだ丸くてちっこいですが、良好、良好」
リリアの成長については、同じ妖狐としてアサギがみた。このたび彼女の放電期が本格的に始まってから、彼の正体が屋敷の者達に伝えられていた。
使用人達は、「道理で」「何となく気付いてました」と呆気なく馴染んだ。
彼の正体が明かされてからは、リリアの成長診断も、屋敷の全員が広間に集められて行われるようになった。使用人達も、リリアの成長は気にかけていたのだ。
「食事はどうします?」
四十代になったばかりの料理長が、挙手をして尋ねた。その手には、いつも通り、律儀にメモ帳と筆記道具が握られていた。
「人間の、十二歳の子供と同じ栄養バランスで結構ですよ」
アサギはそう答えてから、一同を見渡した。