半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「旦那様、大丈夫ですって。相手は優秀な魔法使いですから、きっと自分でどうにかしますよ。それにですね、『ぶっ飛ばす』って日頃から、あんたが使ってる言葉じゃないですか。オウカ姫と出会った時も、酒屋のジーライドさんと殴りあ――」
「毛ぇむしられたくなかったら黙ってろこの――(ピー)――野郎!」
爽やかな笑顔を浮かべてケラケラとからかうアサギを、ツヴァイツァーが手紙を片手にしばらく追い回した。
第二王子の訪問については、一番近い日付が選ばれた。
日を待つリリアは、大変機嫌が悪かった。
使用人達も、そわそわと落ち着かない日々を過ごした。そうしているうちに、あっという間に予定されている日までの残り日数は過ぎていった。
――そして、見合いの当日を迎えた。
その日、午後の早い時間、レイド伯爵領の手前で転移魔法が感知された。
リリアは、ちょうど第二王子の訪問予定に合わせ、見劣りしない程度に身支度を整えていたところだった。獣の耳が、ビリビリと痺れるような初めての感覚に気付いてハッとする。
「あっ、お嬢様!?」
「ごめん、それ自分でやっておくから!」
リリアは、着替えを手伝ってくれたメイドにそう言うと、襟元のリボンをひらひらさせながら窓から飛び出した。屋敷の屋根まで浮かび上がる。
「毛ぇむしられたくなかったら黙ってろこの――(ピー)――野郎!」
爽やかな笑顔を浮かべてケラケラとからかうアサギを、ツヴァイツァーが手紙を片手にしばらく追い回した。
第二王子の訪問については、一番近い日付が選ばれた。
日を待つリリアは、大変機嫌が悪かった。
使用人達も、そわそわと落ち着かない日々を過ごした。そうしているうちに、あっという間に予定されている日までの残り日数は過ぎていった。
――そして、見合いの当日を迎えた。
その日、午後の早い時間、レイド伯爵領の手前で転移魔法が感知された。
リリアは、ちょうど第二王子の訪問予定に合わせ、見劣りしない程度に身支度を整えていたところだった。獣の耳が、ビリビリと痺れるような初めての感覚に気付いてハッとする。
「あっ、お嬢様!?」
「ごめん、それ自分でやっておくから!」
リリアは、着替えを手伝ってくれたメイドにそう言うと、襟元のリボンをひらひらさせながら窓から飛び出した。屋敷の屋根まで浮かび上がる。