半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
アサギは、前足をちょっと向けてリリアに教えてやる。彼女がきちんとリボンを仕上げられたのかも、ついでに確認していた。
「その結界って、私でも見える?」
「ん~、仔狐の視力では、難しいでしょうねぇ。各地に繋げてある妖怪国の入り口が見えるようになれば、恐らくは可能だと思いますが。ああ、第二王子が来ることは〝里のモノ〟も知ってますから、誤って襲撃することもないですからね」
取って付けたようにアサギが言った。
その後、リリアは彼と地上へ降りた。すぐにアサギが人間姿になって、自前の執事服をきちんと整える。
――そして、第二王子一行の到着が、屋敷の玄関前で待たれた。
ツヴァイツァーも、今や立派な紳士用の正装に身を包んでいた。目に眩しくない控えめな金髪もセットされ、穏やかな笑顔を浮かべる様子は、実にハンサムである。
リリアは、細かいひらひらも多く付いた可愛らしいドレスだ。普段は下ろされている綺麗な髪も、今日は一部の横髪をすくい取って後ろで大きなリボンでとめていた。もちろん、見えないのをいいことに、下には少年たちがよく履いている長ズボンを着ている。
「姫様、顔がすごく怖いことになってますよ」
伯爵家の執事として、そばに控えているアサギがちらりとリリアを見下ろす。
「黙ってて、アサギ。いいのよ、奴らが来たら、きちんと演技するから」
彼女は視線も返さず、むっつりと言い返した。腕を組んで仁王立ちする姿は、喧嘩上等、かかってきなさいと言わんばかりのオーラを放っている。
「その結界って、私でも見える?」
「ん~、仔狐の視力では、難しいでしょうねぇ。各地に繋げてある妖怪国の入り口が見えるようになれば、恐らくは可能だと思いますが。ああ、第二王子が来ることは〝里のモノ〟も知ってますから、誤って襲撃することもないですからね」
取って付けたようにアサギが言った。
その後、リリアは彼と地上へ降りた。すぐにアサギが人間姿になって、自前の執事服をきちんと整える。
――そして、第二王子一行の到着が、屋敷の玄関前で待たれた。
ツヴァイツァーも、今や立派な紳士用の正装に身を包んでいた。目に眩しくない控えめな金髪もセットされ、穏やかな笑顔を浮かべる様子は、実にハンサムである。
リリアは、細かいひらひらも多く付いた可愛らしいドレスだ。普段は下ろされている綺麗な髪も、今日は一部の横髪をすくい取って後ろで大きなリボンでとめていた。もちろん、見えないのをいいことに、下には少年たちがよく履いている長ズボンを着ている。
「姫様、顔がすごく怖いことになってますよ」
伯爵家の執事として、そばに控えているアサギがちらりとリリアを見下ろす。
「黙ってて、アサギ。いいのよ、奴らが来たら、きちんと演技するから」
彼女は視線も返さず、むっつりと言い返した。腕を組んで仁王立ちする姿は、喧嘩上等、かかってきなさいと言わんばかりのオーラを放っている。