半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
一瞬、攻撃するのをリリアは忘れた。
その時、同じくプライドが高く負けず嫌い、と言わんばかりにサイラスが文句を言い返してきた。
「レイド伯爵も、また随分な〝人外の子〟を持ったものだな。あっさりと簡単に空を飛んで見せるとは。それにあやかしを執事にするなど」
リリアは、続く言葉を全部聞くことができなかった。
――パキン、と、心の奥に大切にしまい込んでいたナニかが、壊れる音がした。
ヒトヲ、ミンナ、嫌イニ、ナリタクナイノ。
でも、自分から拒絶してしまえば、傷付かないのではないか。だから……と、これまで感じたことのない感情の爆発のままにリリアは両手を高く上げ、制限を外して妖力を練り上げた。
「私のことを馬鹿にするのは構わないけど、母様を愛した父様や、アサギのことを侮蔑するような態度は無性にむかつくわ!」
差別の言葉が、初めて、深く深く胸に突き刺さった。
やっぱり分かり合えないんだという現実に、リリアは本当のところ強く傷付いた。とても怒っているのに、同時に泣きたい気分で。
「お前? もしかして泣いて――」
その怒る瞳に涙が浮かんでいるのを見て、サイラスが僅かに動揺を見せた。
だが直後、リリアは彼の言葉を遮っていた。
その時、同じくプライドが高く負けず嫌い、と言わんばかりにサイラスが文句を言い返してきた。
「レイド伯爵も、また随分な〝人外の子〟を持ったものだな。あっさりと簡単に空を飛んで見せるとは。それにあやかしを執事にするなど」
リリアは、続く言葉を全部聞くことができなかった。
――パキン、と、心の奥に大切にしまい込んでいたナニかが、壊れる音がした。
ヒトヲ、ミンナ、嫌イニ、ナリタクナイノ。
でも、自分から拒絶してしまえば、傷付かないのではないか。だから……と、これまで感じたことのない感情の爆発のままにリリアは両手を高く上げ、制限を外して妖力を練り上げた。
「私のことを馬鹿にするのは構わないけど、母様を愛した父様や、アサギのことを侮蔑するような態度は無性にむかつくわ!」
差別の言葉が、初めて、深く深く胸に突き刺さった。
やっぱり分かり合えないんだという現実に、リリアは本当のところ強く傷付いた。とても怒っているのに、同時に泣きたい気分で。
「お前? もしかして泣いて――」
その怒る瞳に涙が浮かんでいるのを見て、サイラスが僅かに動揺を見せた。
だが直後、リリアは彼の言葉を遮っていた。