半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 ぶつかりあった妖力が爆発し、身を庇ったサイラスが吹き飛ばされた。護衛騎士が慌ててその身体を受け止め、共に地面に転がり落ちながら、熱風から王子を守るように抱き寄せる。

「姫様! なんっつう量の妖力を集めてんですか! 」

 狐姿のアサギが、消えた炎を確認してすぐリリアに言った。

「へたしたら雷雲級の雷になってましたよ!? 屋敷の一部もろとも吹き飛ばすおつもりですかっ」
「うるっさいわね! なんで邪魔したのよ、アサギ!」
「彼らはこの土地の人間ではないのですから、姫様の放電で呆気ないくらい吹き飛びます! 妖狐の加護があるから、旦那様とかは平気なんです!」

 ビシリッ、と、アサギが教育係として説教する。

 人の手が届かない空中で、リリアと黒狐がぎゃあぎゃあ話していた。それを前に、現役部隊の魔法使い達がぽかーんとした。

「き、狐が人の言葉を喋ってる……」

 手を借りて立ち上がったサイラスも、そちらへと目を向けると、王宮の使者達と揃って唖然とした。
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