半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「それで?」

 じっと見据えて、ツヴァイツァーが淡々と問う。

「今回、半ば強引に、ウチのリリアと見合いをさせた〝魂胆〟を聞いても? あれだけしつこく手紙を送ってきたことに理由はあるのですか?」

 ハイゼンは、どうしてか下町のごろつきに尋問されているような錯覚を受けた。気圧されて、しどろもどろに打ち明ける。

「実は、妖怪国との縁が欲しかったのも確かではありますが、一番は、現在の殿下の体質もあります」
「体質? ほぉ、それは魔法使いとしての才能の方が原因、だったりするんですかね」

 宰相の切り出しを聞いて、ツヴァイツァーが促す。

「まさにその通りです。王族の習慣では、十三歳までに将来の妻候補が立てられます。しかし殿下は、強すぎる魔力をまだコントロールできず、触れた者がひどい魔力酔いを起こすのです。あの美貌ですから、交流会に招待された令嬢達は、自分こそを婚約者にとアピールしたがり」

 結果、そのたびに魔力酔いで倒れる。令嬢達としては、もし魔力酔いを起こさなかったら候補の筆頭に出られるかもしれないと期待して、めげないのだ。
< 70 / 301 >

この作品をシェア

pagetop