半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
獣耳付きで、しかも時々空を飛んでいる姿も目撃されているリリアは、滅多に顔を出さない第二王子の婚約者としても注目を集めた。
それでも毅然とし、ツヴァイツァーの娘として立派に振る舞った。
そして何度目かの社交の場で、サイラスと遭遇し、ようやく彼と言葉を交わすことになった。
この婚約は、リリアを守るため、ツヴァイツァーが国王と結んだ〝契約〟である。それと同時にサイラスにとっても、王族としての習慣を守るために必要なものだ。
婚約者として言葉を交わさなければならない状況だった。だから二人は、初対面の頃より一年分の成長を見せて、冷やかな表情ながら対面を守って社交辞令をした。
――のだが、かなり辛辣な言葉のやりとりだった。
「殿下が来ているだなんて、存じ上げませんでしたわ」
「奇遇だな、俺もだ。先に参加者名簿に目を通していてもよさそうだが、無能ならその執事を連れる意味はないと思うがな」
「彼は、わたくしの教育係です。うっかり電撃を放ってしまう前に、失礼致しますわね」
それは、周りで聞いていた者たちを凍り付かせるほどだった。
二人の仲の悪さは、数回の顔合わせを経て知れ渡った。
それでも毅然とし、ツヴァイツァーの娘として立派に振る舞った。
そして何度目かの社交の場で、サイラスと遭遇し、ようやく彼と言葉を交わすことになった。
この婚約は、リリアを守るため、ツヴァイツァーが国王と結んだ〝契約〟である。それと同時にサイラスにとっても、王族としての習慣を守るために必要なものだ。
婚約者として言葉を交わさなければならない状況だった。だから二人は、初対面の頃より一年分の成長を見せて、冷やかな表情ながら対面を守って社交辞令をした。
――のだが、かなり辛辣な言葉のやりとりだった。
「殿下が来ているだなんて、存じ上げませんでしたわ」
「奇遇だな、俺もだ。先に参加者名簿に目を通していてもよさそうだが、無能ならその執事を連れる意味はないと思うがな」
「彼は、わたくしの教育係です。うっかり電撃を放ってしまう前に、失礼致しますわね」
それは、周りで聞いていた者たちを凍り付かせるほどだった。
二人の仲の悪さは、数回の顔合わせを経て知れ渡った。