半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「んなことあるわけないじゃん、バカじゃないの?」
十五歳と数ヶ月、リリアの苛々はマックスだった。令嬢達が聞こえるようにこそこそ話していたその内容を思い返すと、腹立たしい。
「妖怪国との繋がりをたもつだの、強化するだの、私一人でそんな変化を与えられるはずがないじゃない。ちっくしょー嫌だけど婚約者なの!」
「姫様、もう少し声を抑えましょうね。令嬢の仮面がはがれちゃってますんで」
今日は、王宮で第一王子の婚約祝いが開催されていた。
その会場で、若葉色の外向けドレスで身を包んだリリアは、壁際でしゃがみ込んで不貞腐れていた。不機嫌な顰め面も、以前より美しさに磨きがかかっている。
父が社交をしている間、自由行動を取っていた。自分からガンガンあしらっていく、というのもすっかり面倒臭くなって不参加だ。
そんな彼女の隣には、同じようにアサギが壁に背をあてて品なくしゃがんでいた。時々、目の前のテーブルの間を通り過ぎていく王宮の使用人に、へらりと笑いかけてフォローを入れる。
「あ、大丈夫です。気にしないでくださーい」
参加者達も、テーブルの向こうに隠れている二人を見掛けるたび、リリアの不穏な空気にも気付いて素早く見なかった振りをしていた。
十五歳と数ヶ月、リリアの苛々はマックスだった。令嬢達が聞こえるようにこそこそ話していたその内容を思い返すと、腹立たしい。
「妖怪国との繋がりをたもつだの、強化するだの、私一人でそんな変化を与えられるはずがないじゃない。ちっくしょー嫌だけど婚約者なの!」
「姫様、もう少し声を抑えましょうね。令嬢の仮面がはがれちゃってますんで」
今日は、王宮で第一王子の婚約祝いが開催されていた。
その会場で、若葉色の外向けドレスで身を包んだリリアは、壁際でしゃがみ込んで不貞腐れていた。不機嫌な顰め面も、以前より美しさに磨きがかかっている。
父が社交をしている間、自由行動を取っていた。自分からガンガンあしらっていく、というのもすっかり面倒臭くなって不参加だ。
そんな彼女の隣には、同じようにアサギが壁に背をあてて品なくしゃがんでいた。時々、目の前のテーブルの間を通り過ぎていく王宮の使用人に、へらりと笑いかけてフォローを入れる。
「あ、大丈夫です。気にしないでくださーい」
参加者達も、テーブルの向こうに隠れている二人を見掛けるたび、リリアの不穏な空気にも気付いて素早く見なかった振りをしていた。