半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「欲張って『もっと』というのが、私には分からないなぁ」

 リリアは、鳥肉を歯でぶちっとちぎると、もぐもぐしながら呟いた。向こうを観察している彼女を、気付いた紳士の二人が「うわっ」「丸ごと一本手に持って食べてる」と見ていった。

 人間の魔力量は、産まれた時から変わらない。

 でもリリアは違う。生きていく分だけ、妖力量が増える。

 量でいえば、とうにサイラスを超えていた。しかし彼は魔法技術一本で、リリアが気絶させるつもりで放った妖力の圧にも、耐えられるほどの結界を作ったりするのだ。

 学院や社交行事で睨み合いの末、魔力と妖力をぶつけ合うこともしばしあった。

 プライドの高い剣士同士が、自分の方が上だと威嚇するのと、ちょっと似ている。

 それもあって、リリアの人外評価はより強くなっていた。令嬢達は第二王子の妻に「化け物は合わない」と、勝手な正義感を滾らせている感じでもある。

「と、同時に、姫様には『第二王子しか無理』という意見も出ちゃってますけどねー」

 リリアが食べ終わった時、アサギがそう言った。

「何よ、それ? 嫌味?」
「ほら、皆さんは、やっぱり我々の力が怖いわけです。雷撃なんてくらった、ひとたまりもない。そこで登場するのが、最強の魔法使いの称号も得た第二王子殿下なんですよ」
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