半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「ふうん。つまり、ストッパー?」
「そうです。だから令嬢達が反論しても、大人の大半は大人しいわけです」
興味がない。紙の上の婚約についても、同じことだ。
だって、いつかはなくなる関係で、そもそもサイラスは自分のことを嫌っている。
リリアは、今のリリアをそのまま見てくれる人のことを考えていたい。脳裏を過ぎっていったのは、一心に愛してくれる父の姿だった。
大妖怪の母を、そのまま愛してくれた人間。
「父様、もう少しかかるわよね」
リリアは、しゃがんだ足の上で頬杖をついた。歯のうずきが少し解消されたことで、苛立ちも落ち着いた。見飽きて、もうサイラスの方を見るのもやめていた。
すると察したアサギが、言いながら立ち上がった。
「ここはキラキラして目が疲れますねぇ。狐の目には、眩しすぎていけません。姫様、外で気分転換でもしましょうか。旦那様の動向は、俺が妖力でみているんで心配ありません」
そのまま手を差し出され、リリアは「そうね」と答えた。
こうして適度に息抜きさせてくれるのは助かっていた。手を握ったら立ち上がらせてくれて、リリアはアサギといったん会場をあとにした。
「そうです。だから令嬢達が反論しても、大人の大半は大人しいわけです」
興味がない。紙の上の婚約についても、同じことだ。
だって、いつかはなくなる関係で、そもそもサイラスは自分のことを嫌っている。
リリアは、今のリリアをそのまま見てくれる人のことを考えていたい。脳裏を過ぎっていったのは、一心に愛してくれる父の姿だった。
大妖怪の母を、そのまま愛してくれた人間。
「父様、もう少しかかるわよね」
リリアは、しゃがんだ足の上で頬杖をついた。歯のうずきが少し解消されたことで、苛立ちも落ち着いた。見飽きて、もうサイラスの方を見るのもやめていた。
すると察したアサギが、言いながら立ち上がった。
「ここはキラキラして目が疲れますねぇ。狐の目には、眩しすぎていけません。姫様、外で気分転換でもしましょうか。旦那様の動向は、俺が妖力でみているんで心配ありません」
そのまま手を差し出され、リリアは「そうね」と答えた。
こうして適度に息抜きさせてくれるのは助かっていた。手を握ったら立ち上がらせてくれて、リリアはアサギといったん会場をあとにした。