半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
リリアは、開き直ってそう言った。
「見ても分かる通り、私は休憩中なの。たかがあなたの相手をしている暇はないのよ」
相手にもならんわ、というような言い方をして、つんっとした態度で背中に流した薄金の髪を波打たせた。
アサギが両手で頬杖をついてから、サイラスの存在を無視して言う。
「ずっと地上を歩いていましたから、姫様ストレスが溜まっていましたもんねぇ。飛びたい年頃の子狐ですからね、ははは」
ぴくり、とサイラスが反応する。
「『姫様』……」
口の中で小さく繰り返した彼が、聞き覚えがある様子でジロリとアサギを見やる。それに対してアサギは、もう知らんぷりだ。
けれど、サイラスはすぐに夜空へと視線を戻した。そして背を向けているリリアへ声をかける。
「俺をナメるなよ。それくらいなら、人間の俺だって飛べる」
……ん? 人間なのに、〝飛ぶ〟?
疑問を覚えた直後、リリアは魔力の流れを察知した。訝しげに振り返ってみた途端、彼女は大きな目を丸くする。
すぐ目の前に、淡く輝く魔法陣を足元で光らせている彼が、いた。
「見ても分かる通り、私は休憩中なの。たかがあなたの相手をしている暇はないのよ」
相手にもならんわ、というような言い方をして、つんっとした態度で背中に流した薄金の髪を波打たせた。
アサギが両手で頬杖をついてから、サイラスの存在を無視して言う。
「ずっと地上を歩いていましたから、姫様ストレスが溜まっていましたもんねぇ。飛びたい年頃の子狐ですからね、ははは」
ぴくり、とサイラスが反応する。
「『姫様』……」
口の中で小さく繰り返した彼が、聞き覚えがある様子でジロリとアサギを見やる。それに対してアサギは、もう知らんぷりだ。
けれど、サイラスはすぐに夜空へと視線を戻した。そして背を向けているリリアへ声をかける。
「俺をナメるなよ。それくらいなら、人間の俺だって飛べる」
……ん? 人間なのに、〝飛ぶ〟?
疑問を覚えた直後、リリアは魔力の流れを察知した。訝しげに振り返ってみた途端、彼女は大きな目を丸くする。
すぐ目の前に、淡く輝く魔法陣を足元で光らせている彼が、いた。