<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
月は憩う
<月那side>
研究課題の論文が机上に山積みになっている。
それを片っ端から捲っていると、電話の着信を知らせるアラームが鳴った。
バイブレーションの振動を感じながらもスマホを取ると、彼氏の名前がディスプレイに書かれていた。
「もしもし?」
『月那。今何してる?』
「論文見てたけど……優生は外にいるの?」
電話の向こうからガヤガヤと喧騒が聞こえる。
今は夜の11時半だ。こんな遅くまで外にいたのだろうか。
いくら大人の男性とはいえど早く帰宅してほしいものだ。
『ああ、ちょっと立て込んでてな。月那こそ寝ないでいいのか?』
「うん。明日午前休みだし」
優生はこの春、大学を卒業して起業した。
大学の友達と一緒に組んでいるようで、今は試行錯誤を重ねてながら経営している。
まだ小さな会社だけどこの先発展していくと私は踏んでいる。