<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
TWO STARS
⁑
☆
一方、その頃。
「最近、“ berial”というドラッグが芸能界に広がっているらしい」
芸能界といっても10代から20代のモデルの間で流行っているとのこと。
警視庁組織犯罪対策部のミーティングルームにあるホワイトボードに貼られた写真には、いかにもサプリメントのような白いカプセルや綺麗なボトルが映っていた。
組織犯罪対策部(通称組対)とは国際犯罪、暴力団の犯罪、薬物銃器犯罪を主に取り締まる部署のこと。
「錠剤タイプや香水のような液状のものまである。体型維持のために飲んだり、活力を高めたりしているそうだ」
ホワイトボードの前に立って堂々と話している人は佐藤警視監……月那と朔夜の育ての親である。
3人の間に血縁関係はないけども、れっきとした家族だ。
佐藤警視監は部下達に伝えるために、そのまま続ける。
「このクスリを飲めば、体重も激減する上、緊張感が薄れたり撮影で実力が上手く発揮できるようになるらしい」
「モデルにとっては魅力しかありませんね」
「しかもこの効能なら一般の人にも被害が出る可能性が出てくる。早急になんとかしたい」