<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
今回は芸能界。きっとマトリが潜入捜査をしていくんだろう。
「……うーん」
マトリはマネージャーとかスタッフさんに偽って捜査するのかな。
私は手元にあるスマホを取って、電話をかけた。
「もしもし、千尋?」
『月那ちゃん、どうしたの?』
及川 千尋。
元桜蘭の幹部。桜蘭の情報収集担当だった。現在は谷口組組長となって後を継いでいる。
あの極悪だった暴力団も千尋のおかげでそんな噂もほとんどなくなっていた。
月夜で捜査していた時も千尋の情報に頼っていたところも多々あった。
だからこうして今回も千尋に協力してもらっている。
「暴力団の噂を聞きたくて」
『もしかして“berial”のこと?』
「もう知ってるの? まさか谷口組が関与してたり……」
『そんなわけないでしょ。ただ傘下はわかんない。あったら徹底的に消さないと』
穏やかな口調からやけに物騒な単語が飛び込んできたのはなかったことにしよう。