<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
私はファイルを開き、目を通す。
確かに、参加者の声の欄にSEIRAの名前とコメントが添えられている。
「裏方の方が好きなだけで、モデル自体は嫌いじゃないんでしょ」
「……まあ」
嫌いじゃないけど、好きでもない。
あるのは、興味だけ。
「まずは試しに受けてみて。自薦他薦の欄があるけど、そうね……」
顎に指を当てて、真剣な表情で考え込む。
その刹那、ウェーブ巻きの黒髪が一瞬だけ揺らめいた。
……綺麗。
お茶目な印象が強烈で、そう思うことが少なかったけど。
そういえば、初めてSEIRAを見た時は綺麗って思ったんだっけ。
「自信をつけるためにも、自薦にするわよ」
「他薦って言ったらどうするつもりだったんですか……」
「え、そっちが良かった? なら、私が推薦者として……「自薦で結構です!」
「あははっ、月那ならそう言うと思った!」
SEIRAが推薦者になるとか……期待される以上のものを見せなきゃいけないじゃない。
そんなハードル高いこと、今の私にできるわけない。
私の考えを見透かしたようにけらけらと笑うSEIRA。纏う雰囲気はさっきと別人のよう。