<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
「やりたいって思ったらいつでも応募していいのよ。言っとくけど、これは強制じゃないから」
SEIRAはスマホを片手に手を振って、車から降りた。
ドアを閉める間際、こちらを振り返って、フッと軽く笑う。
「じゃあ、待ってるから」
SEIRAのセリフに続くように、マネージャーとスカウトマンも同じような言葉を残して、彼女の後を追っていった。
「ははは……」
一緒に外に出て、ビルに入っていく彼女達を見届ける。
ぱたぱたと慌てたように入っていくもんだから、緊張が緩んで思わず笑いがもれてしまう。
そこで、今まで緊張していたことに気づいた。
……知らない人がいたから、かしこまってしまったかもしれないな。
『じゃあ、待ってるから』
先程の目まぐるしい出来事を思い返す。
……強制じゃないからって言わなかったっけ。
そんな言葉、オーディションを受けろと言ってるようなものじゃないか。