<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
周囲に千尋しかいないことを確認した。光希は厨房で作業しているのだろう。
夜遅くまで大変そうだ。お疲れ様と心の中で労わる。
「どうぞ」
俺は性根を据え、封を切った。
「……!」
結果からいえば、SEIRAは──クロだった。
千尋の情報なので、信用していい。間違うわけない。
『20時17分 対象者が、東京都港区六本木に位置するN & Mバー敷地内に入る』
『20時22分 同所のVIPルームに案内される。同時刻とある男性Aが入店』
男性Aの特徴は所見に細かく書き込まれていた。
そして判定事項にSEIRAが男性Aに錠剤を渡し、その余りを家に持ち帰ったとも記された。
「……待って」
それだけじゃない。
バーで男性Aと親密げに腕を組んだり、肩と肩とくっつけるSEIRAの写真もあった。