<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
とはいえ、月那を守る役割なのが彼氏である自分じゃなく、双子の兄である朔夜なのが気に食わない。
もちろんその理由も優生を事件に巻き込ませないため、忙しい自分に気遣っているというのもわかっている。
それに朔夜の方が“月夜”として築き上げた年月がある。融通が利くし、スムーズに事が運ぶことだろう。
理解しても、溢れ出る寂しさや嫉妬はどう足掻いても誤魔化せられないし、抑えられない。
朔夜は月那の兄だ。嫉妬なんかしたって、どうにもならないと言い聞かすことに必死だった。
「今日の仕事早く終わりそうなんだ。月那は?」
「えっと、夜まで撮影だからそれ終わったら空いてる」
「じゃ、その後久しぶりにデートしよう」
優生は数ヶ月前に会社を立ち上げて、経営を安定させるため毎日仕事に明け暮れている。
そして月那もモデルの仕事を始めて忙しい。
会えない日々が続かないよう、朝はこうして顔を合わせる時間がある。でもお互いバタバタしてて長い時間確保できないのだ。
月那は優生の誘いに心から嬉しそうに頷いた。
優生はそんな月那を見つめ、久しぶりにゆっくり過ごせると夜を待ち侘びていた。