<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
月に触れる
<月那side>
──パシャ
シャッター音に合わせて、表情とポーズを変える。
──パシャ
カメラマンが撮影した画像をディレクターとカメラマンが確認する。
「はーい、OKです! お疲れ様でしたー」
その掛け声で私は「お疲れ様でした」と言いながら、胸の内で安堵した。
今日も無事に終わった。
撤収作業をするスタッフ1人1人にお礼して、私はスタジオから出た。
「はぁ……」
1週間前。撮影の途中でちょっとしたトラブルが起きた。
それはすぐに解決できたのだが、その代償に撮影時間が長引いて優生とのデートの約束を果たすことができなかった。
スマホを取り出し、メッセージを遡る。
『撮影が長引きそう。優生が寝てる時にお邪魔したくないから、行くのやめるね』
『本当にごめん』
『わかった。無理だけはすんなよ』
──ああ、優生に会いたかったなぁ。
会いたくなって。
だけど現実問題会いに行けなくて。
「……」
声、だけ。
声だけ聞くのはダメかな……?