<続>双星の煌めきは月夜に魅せられて
スマホを操作して、優生に電話かけようとしたその時だった。
「月那ちゃん」
「簗瀬さん……お疲れ様です」
私はスマホの電源を落として、声の主である簗瀬ハクに顔を向けた。
彼は今を騒ぐ俳優であり、SEIRAの彼氏でもある人。
「あの……」
今日の撮影はSEIRAがいなかったのに、どうしてここにいるんだろう。
SEIRAがいれば、彼がここにいるのに納得がいくんだけど……。
尋ねてみると、どうやらハクは近くで映画の撮影をしていたようだ。
「……今日は朔夜さんいないの?」
「はい、今日は用事があって難しいようで」
「そっかー、朔夜さんと話したかったな」
「朔夜にも伝えておきますね」
どうしよう。今日はSEIRAも捜査の関係者もいないから朔夜に迎えを頼まなかったのだ。
朔夜が迎えに来る時はSEIRAがいる時がほとんど。撮影の待ち時間で簗瀬ハクと仲良くなったのだ。
今では“ハクさん”“朔夜さん”と呼び合って、タメ口で話してるくらいだ。