きみのこと、極甘にいじめたい。
「……ねえ、ずっと聞きたかったんだけど、なんで俺に告白したの?」


「なんでって……」



告白のときに言ったとおりだよ。



”理太だけが特別に見えるの”

”好きです”

”付き合ってください”



今でも覚えてる。必死で伝えた三行分。そのまんまの意味だよ。


そして、理太ははっきりと答えたでしょ。



――『ごめん。素直のこと、女として見れない』





「……やめない? この話」


すっと立ち上がって、ぎこちなく笑う。


でも腕を掴まれ、引き留められてしまった。


「なんで? 俺はずっと聞きたかったんだけど」


「なんでよ。べつに言ったまんまだし、だいたいそんな過去のこと、もう忘れてよ」



しつこいなーって笑って返してるのは、本気でこの話をおわらせたいからなのに。



「忘れるって、どうやって?」


理太は引き下がらない。


どうやってって、そんなの簡単でしょ。



「どんな女子でも引く手あまたのモテ男が、たった一回の告白を忘れるなんて、公式一個忘れるより簡単なことだよ」



「……。忘れらんないから言ってんだけど」



なに、その顔。


なんで振った側の理太が、傷ついたみたいな顔すんの?



意味わかんないから。



「「……」」



お互い言葉を止めたせいでリビングが静まり返ってしまい、一気に気まずくなってきた……。



と、その時。


音をたてたのは、理太のスマホだ。

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