きみのこと、極甘にいじめたい。
そのまま電話にでも行っちゃえ、と思いながらスマホを手に取った理太を見る。
スマホの画面を見つめたと思ったら、理太は喜怒哀楽の読めないふつーの顔で、電源を切ってしまった。
「え! 切った。知ら番だったの?」
「いや、知り合いっていうか……どーでもいい相手」
本当にどうでもよさそうにスマホをソファに、放ってしまうなんて……。
「そうだ。先週録画した映画、一緒に観ようよ」
にこ、と笑顔を向ける理太。
あたしは戸惑いながら、「う、うん……」と返した。
だって理太って、人を大事にする子だと思ってたから……”どうでもいい”ような相手が存在することが意外すぎるんだもん。
誰だろう……。彼女がいたって言うし、もしや元カノとか……? って、邪推が止まらない。
「さっきの電話の相手って……女? 男?」
質問してみれば、理太はリモコンを押す手を止めて、ヘーゼルの瞳がのんびりとこちらを向く。
「……女」
にや、傷跡の残る唇が弧を描くだけで、ドキリと心臓を鳴らすのに十分な刺激だ……。
「……って言ったら、気になる?」