きみのこと、極甘にいじめたい。

「ち。違うの。理太に用事があったの!」


「あー……周りの目を気にしたってわけね」


「あのね、お願いがあるの。今日わかなとランチするんでしょ?」


「よく知ってるね。……もしかして妬いてんの?」


にや、じゃないし。妬いてなんか……ないし。



「妬くわけないでしょ。そうじゃなくて、わかなが僻まれるような……例えば目立つとこで食べるのやめて、ふたりきりでこっそり食べてよ」


「やだ」


「ありが……っ、え? やだって言った……!?」


「だって何のために俺がそんな事しなきゃいけないの?」


「わかなが嫌がらせされたらどーすんの? わかってないの? 理太モテるんだよ?」


「はー、嫌がらせとかそんな幼稚なこと、高校生にもなってあり得ないと思うよ」



「そうかもしれないけど……でも」



ヘーゼルの不機嫌な瞳に睨まれて、



「それに。俺がコソコソと秘密で会いたいのは、この子だけなんだよね」



ぐいっと軽く引かれたあたしのネクタイ……。



「……だから、他の女子と二人きりで過ごせとか言われんの、すげー嫌」



ドッキンと心臓が跳ねて、どうしようもなく顔が熱くなっていく。



悟られないように「でも、おねがい!」と顔を伏せる。



「だからヤダって。だいたい好きな子でもない子を相手に、なんで俺が気使わなきゃなんねーの」



すっと立ち上がった理太は、なんだか冷たい目であたしを見下ろすから……


言葉、出なかった。


……なんでそんな怒るの。理太の、馬鹿……。


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