きみのこと、極甘にいじめたい。



……理太の薄情者め。


わかなもあたしの忠告なんて聞いちゃいなかったみたいで。


のんきでマイペースな似た者同士だよ……。


そんな二人は堂々と渡り廊下のベンチでお昼をとっている。


そして案の定、どこもかしこもざわついてるから……。



そんな中、あたしはあさみとあーやと教室でお弁当を食べている。


「……わかな大丈夫かな」


「「何が?」」


「あの転校生やたら目立つし、わかなが僻まれて嫌がらせされたりしないか心配じゃない?」


「”あの転校生”ってあんたの親戚でしょーが!」


とあーやは気楽に笑っているし、


「僻んだとしても嫌がらせするような過激な女子、いないっしょー!」


って、あさみもあっけらかんと笑ってる。



……やっぱり、あたしが過剰に意識しすぎなのかな。


トラウマといえばトラウマだもんな。だから大げさにとらえているのかも。


「そうだね。大丈夫だよね」



うん、もう心配するの止そう。


と頭を切り替えた瞬間、


「だー! 思い出した、バイトだるい……」


「素直シフト入れすぎでしょ」


「新人さんがことごとく辞めちゃうから……休めないんだよ」


「素直がいじめてんの?」


「そんなわけないでしょ!めちゃくちゃ優しく教えてるのにさ」


手荒れするから辞めます、って去ったギャルとか


何も言わずに飛んでしまった眼鏡くんとか


接客業向いてないと思うんで、と去った大学生とか



「……店長の面接センスがなさすぎるせいだと思うんだよね。あーやは部活あるし……あさみ! うちで働かない!?」


「ぜったい嫌。ぜったいブラック」


「ひどい……」


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