きみのこと、極甘にいじめたい。

……勝手なことばかり、言わないでよ。



ぐっと拳を握り込み、まるで過去の自分が言えなかったことを消化するみたいに、飛び出した言葉。



「なんであんたたちに、わかながそんなこと言われなきゃいけないの?  先着順っていうなら、先に行動した人が勝ちでしょうが!!!」


妄想の中で、あたしは何度も、このセリフをまりあちゃんたちに言い返した。



言い返せたらきっとスッキリできたのにって後悔しながら、憎悪の気持ちを膨らませて……。



あの時の悔しさを重ねてしまって、熱がはいりすぎたのかも。


あたしは気づけば半泣きだ。


ちゃんと言い切ったのに、すっきりすることなんかなくて、一気に不安が押し寄せてくる。



い、……言っちゃった……。



青ざめるあたしをぽかんと見ていた女子が、やっと口を動かした。



「……いやいや、あんた関係ないから」


関係ない、といいながらも、敵意はわかなとあたしに広がったのがわかる。



……中学生のあの時。


大勢からたった一人で責められて、誰もがまりあちゃんの味方をした。


もし、あたしをかばってくれる人が、ひとりでもいたら……。


……ぜんぜん、違っただろうな。



苦しい、悲しい、悔しい。



「……関係あるよ。わかなはあたしの大事な友達だから……!」



そう言ってくれる人が、あたしは、欲しかった。



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