きみのこと、極甘にいじめたい。

「……理太」


その声でやっとあたしを視界に入れた理太。



何か言ってやろうと思ったのに、力が抜けてしまった。



……罪悪感とか、なんにもない顔してるね。



理太は”そういう人”なんだよね。


そういうこと、だれにでもできるし、気を持たせるだけもたせておいて、こっぴどく振ることだってできる人。


……知ってたよ。


知ってたから勘違いしないようにあれだけ警戒したのに、その結果、また勘違いしてたみたい。



理太は、あたしだけに甘く接するんだ、って。



そんなわけないのに、ばかじゃん、あたし。



「……さいあく」


だから、嫌なの。理太なんか。



軽蔑の目を向けてから、理太を見て唖然としているわかなの手を引いて、その輪から抜けた。



「……す、」


あたしの名前を呼ぼうとしてやめたんだろう、そんな声は、後ろから聞こえたけど。



振り返りたくもない。




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