きみのこと、極甘にいじめたい。
「昔からきょうだい欲しかったんだけど“妹”にこんなの作ってもらえるなんて、俺、生きててよかったなー……」



ふっと柔らかに浮かぶ理太の笑顔が、同情心を煽り、あたしの悪だくみした汚い心をざくざくに切り刻むと、



代わりに罪悪感が胸いっぱいにドーンと顔を出す。



「あ……あの、やっぱりそれはぁ……」


「何? 難しい顔してどーしたの」


「そのドリンク……実は作り方を間違えちゃったから、作りなおそっかな、なんて……」



「えーそんなの勿体ないよ」



そう言った理太はあたしの腕をひっつかんだ。



ぐいっと引っ張られて、あたしはソファの上、すぐ理太の隣に座らされて。



あたしの肩に腕を回した彼。



「こっ! この手は、なに……?」



密着する体にドキドキするあたしを見つめて、理太はフッと笑う。



「……こんなにおいしそうなんだから、素直にもわけてあげる」


悪い笑顔を見て、やっと理解した。



まさか理太、この中身がなんだかわかっていて逆にあたしを……


「騙したの……!? 」



肩を抱いているその手が、あたしの両頬を掴むと、グラスを持つ手が口元まで近づけられてきて……。



「えー? 先に騙そうとしたのは、どっち?」



ふに、と唇にグラスの口が押し付けられた。



ひぃっ!!グラスから漂う刺すような刺激臭!!!


逃げ惑うあたしを腕の中におさめる彼は、上から目線で楽しそうに笑っている。



「はい、素直ちゃん。いただきまーす」


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