きみのこと、極甘にいじめたい。
押し殺してほしくない
SIDE 理太
◇
「おはよう! 理太くん! それじゃ行ってきます!」
「戸締りよろしくねぇ!」
「行ってらっしゃい……」
仕事にとりつかれているおじさんと母さんの朝は早い。
もしくは俺の朝が遅い。
眠すぎ……。
「あ! そうだ理太くん、学校から帰ってきたら足元! 足元に気を付けてね!」
――バタン。玄関のドアが閉まってしまった。
「足元……?」
おじさん、何言ってんだろう。
まぁいいや。素直んとこ行こ。
と、思ってリビングに入ったけど、姿は見当たらず。
全部屋探したけどいる気配がなくて、玄関に揃えてあった素直のスニーカーがないのを確認してやっと諦めがついた。
「……先に行きやがったね」
なんなの素直。
せっかく同じ高校に通うんだから一緒に行ってくれたっていーじゃんね。