きみのこと、極甘にいじめたい。
すると殺気をうけとったのか、男子が振り返って、


「おあー! びっくりしたあ! どうした転校生! ほらお入り」


と、招き入れられて、なんなく輪に入る。



「俺、柏木悠太。こっちからあーや、わかな、素直、あさみね」


「「「よろしく~」」」


「……」


「うん、よろしく」


素直だけは俺の方見てもくれないけど。



まぁ素直が俺を受け入れないなら、まずは、外堀から。



「理太くんすっごい囲まれてたね!」


「うん、転校生だし物珍しいんだろうね」


「いやいや、そのイケメンすぎる容姿のせいでしょ、理太くん!」


「名前、理太でいいよ」


「じゃあうちらのことも呼び捨てで呼んじゃって! って名前まだ覚えられないかぁ」



素直の友達って、屈託なく笑う、人懐こい子が多いよな。


「……わかな」


「えっ! うん、わたし、わかな……」


「ね。俺、名前覚えんの得意。わかなって呼ぶね」


「っっ! うん!」


「わかなばっかずるー、理太、うちらの名前も覚えた?」


「あさみ、悠太、素直、あーや」


「正解! 理太すげー!」


「だって、はやく仲良くなりたいから」


緊張が解けて、ふっと頬が緩む。


「……っっっっ!」



また黙られてしまったから、素直に視線をすべらせる。



ねぇ、ずーーーっと黙り込んでる方が不自然だと思うよ。



「そいえばさ、素直と理太って親戚なんだよね?」



突如放たれた矢に反応した素直は、すかさず声を上げた。



「そうなの、そうなの! まあ全然仲良く無いんだけど!」



嘘下手なんだね。



「親戚って、いとことかー?」


「え……あぁうん、そんな感じ?」



設定くらいちゃんと考えときなよ。



前はこんな固く笑う子じゃなかったはずだけど、この前も友達の前で同じ顔して笑ってたね。



罪悪感を抱いた時の顔してるよ。


嘘ついてる罪悪感とか、本当はあるんじゃないの。


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