きみのこと、極甘にいじめたい。
たどり着いたのは図書館。
誰もいないそこで、素直の本音を聞きたかったから、連れてきたんだ。
「同居のこと黙っててくれてありがとう……! ぜったい言うってひやひやしてたの……!」
「……なんでそんなに人の顔色伺いながら嘘つくわけ?」
調和を何より大事にしているみたいだけど、なんか変だよ。違和感あるよ。
「それは、必要なことだから……」
「へぇ。でも俺は素直のそばにいたいんだけど」
「……え」
「悠太だっけ? そいつは喋ってもいいのに、なんで俺はだめなのか教えてくんない?」
やや怒りの宿った俺の目に、今、素直はひるんでる。
まあ、嫉妬もあるかもね。この苛立ち。
俺が詰め寄ったせいで、後ずさりした素直の背中が、本棚にあたった。
「――もう逃げらんないよ」
両手を本棚について、素直を囲う。