きみのこと、極甘にいじめたい。
素直は、バツが悪そうに俺の視線から逃げた。
「だって。理太モテるじゃん……理太と仲良くして、そのうえ血も繋がってないくせに同居なんてバレて、いじめられるとか絶対いやなんだよね」
「いじめって、そんな漫画みたいなことないだろ」
「……。いいよね男子は、恋愛なんかで僻まれないんだから」
そう言って素直は、傷ついた顔して笑った。
「そんな軽蔑した目で、あたしのこと見なくたっていいじゃん……」
「そんな目で見てるつもりないけど。ただ俺には、素直が苦しんでるように見えたから」
ほっとけないんだって、言おうとした、その時。
「……理太にはわかんないよ!」
俺の胸を思い切り押しのけた素直の声は、震えていた。
去り際、泣きそうに歪んだ顔を見てやっと、素直の心に土足でふみこんでしまったことに気づいたんだ。
素直を傷つけた感触だけは、心にずきずきとうずきながら残っている。
ずるずるとその場に座り込んだ。
つまり素直は、僻まれたことがあるってことだよね?
あんな顔させたくて呼び出したんじゃないのに。最悪じゃん、俺。