きみのこと、極甘にいじめたい。

「ナマイキ……。協力すんのやめよっかな」


「うえ!!! 起きてたの!?」


「だいたい、タダで“ふたりの関係は内緒にしてて!”っておかしくない? 礼儀を知らないの?」



「お、お金取る気!? あたし、時給900円の身だよ!?」



「お金じゃなくて。でも口留め料はちゃんと払わないとね」



素直を横目で流し見る。



それだけで、素直の動揺はばっちり受け取れた。



「……わかったよ」



観念した声が聞こえて、笑みがこぼれる。



じゃあ口留め料は明日の朝食ね。美味しいの作ってよ、と。



優しい俺は、そういう教育方針をもっていたのに。




「口止め料……。ほっぺに、キスでいい?」



天性の小悪魔がもぞりと俺を向いた。


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