きみのこと、極甘にいじめたい。

返り血を浴びる


素直 SIDE




……チーン。

という音で目を覚ました。



この音は、亡くなったあたしのお母さんの写真の前にあるお(りん)の音だ。



お鈴って、仏壇でチーンってするあれね。



「……お父さん?」



お父さん、だいぶ前に出ていかなかった?


今日はやけに早く仕事に行くんだなって思ったのに、寝ぼけてたのかな?



目をこすりながら、仏間として使っている四畳半の和室を開けてみれば……。



「え?」



その後ろ姿を認識するや否や、あたしの目は見開かれる。



……なんで理太が仏壇で手をあわせているんだろう!?




「理太……なにしてんの?」


「あ。おはよー。何って、朝の挨拶?」



そう返しながら、手をぱたっと扇ぎ、やけに手慣れた様子でろうそくの炎を消してしまった。


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