きみのこと、極甘にいじめたい。
返り血を浴びる
素直 SIDE
◇
……チーン。
という音で目を覚ました。
この音は、亡くなったあたしのお母さんの写真の前にあるお鈴の音だ。
お鈴って、仏壇でチーンってするあれね。
「……お父さん?」
お父さん、だいぶ前に出ていかなかった?
今日はやけに早く仕事に行くんだなって思ったのに、寝ぼけてたのかな?
目をこすりながら、仏間として使っている四畳半の和室を開けてみれば……。
「え?」
その後ろ姿を認識するや否や、あたしの目は見開かれる。
……なんで理太が仏壇で手をあわせているんだろう!?
「理太……なにしてんの?」
「あ。おはよー。何って、朝の挨拶?」
そう返しながら、手をぱたっと扇ぎ、やけに手慣れた様子でろうそくの炎を消してしまった。