きみのこと、極甘にいじめたい。
キョトンと理太を見上げれば、理太は白い歯をにやりとのぞかせているじゃありませんか。



「今、……遅刻完了、って……言った? え!?」




がばっと勢いよく部屋の壁掛け時計をみると、今の段階でどんなに頑張っても電車やバスに間に合わない。


圧倒的に遅刻している!



「実は昨日、やけに手が滑っちゃって……。俺、素直の目覚まし時計の設定時刻を1時間遅らせたんだよね」


「はぁ!?」



「ていうか、起きたら家に俺のほかに誰もいない時点で気づくべきだったよねー」



――素直が甘いんだよ?



小さく首をかしげる悪魔はいい笑顔で、あたしの髪をすくい、はらりと落とした。



く。



そうまでしてあたしの平穏な生活を、邪魔したいの!?



……やられた。


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