きみのこと、極甘にいじめたい。
「……っ! あたしもう学校行くから!」
と駆け出すあたしに、理太がいう。
「そんな格好で行くんだ。いってらっしゃい」
「う!」
まだパジャマだった……。
「そんなので外でたら露出狂すれすれだよね。娘が公然わいせつなんて、おじさん泣くだろうな。俺も泣きたい」
「うるさいなぁ!」
憐みの目をむけないで!
「それに、なんで俺が起きる時間、素直とそろえたと思ってるの?」
「わかってるよ、理太の考えることなんて」
理太を蹴散らすあたしが気に食わないからって、ねちっこく嫌がらせしてるんでしょ!?
「一緒に学校行きたいっていう我儘でしょ!」
「……へー。俺のこと全然わかってないね」
トンと背中を押されて、リビングへと入った。
柔らかな朝日がきらきらと注ぎ込む、ダイニングテーブル。
そこには、コーンフレークとヨーグルトが並んでいて……。
小さな器には、頑張って切ったんだろうっていう不揃いカットの林檎まである。
「素直が、『ご飯は一緒に食べたい』って可愛いこというから、そうしたんじゃん」
「……え」
なにそれ……なにそれ……。
なんでそんなことするのよ……理太……。
食卓テーブルを見ただけで、胸の奥がきゅんとしちゃうじゃん。
「おじさんと母さんは朝食ちゃんととんないし、素直は俺と一緒に食べよ」
あぁ……。感動だ。
「……理太ぁ……」
そういうところだよ……。
理太の憎めないところ……。