きみのこと、極甘にいじめたい。
「ハンマーで後ろ頭でも殴ったら、理太はあたしの黒歴史を忘れてくれるかな?」



「どうせ殴るなら前からにしてよ」



「なんで?」



「だって最期は素直の顔を見て死にたいじゃん」



「だぁー!」




この天然タラシは、殺害予告さえこんな形で返してくるのね……。




きゅんの返り血を浴びたあたしは、しばらく理太の隣をおとなしくあるいた。







ようやく学校につくと、理太は教室とは別の方へ向かっていく。



「ちょっと理太、どこ行くの? 道に迷った?」


「保健室で寝てから行く。俺と一緒に教室入るの嫌でしょ」



寂しそうな背中が、離れて行く。



とたん、猛烈に湧き出る、罪悪感……。



「……っ、理太」



後ろから腕を引くと、理太は振り返った。



ああ。なんて顔をしているの……。




涙が出ていないのが不思議なほど、悲しそうな表情だ。



ボンッ、ボンッとサイズを膨らませる罪悪感。


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