きみのこと、極甘にいじめたい。

丑三つ時の落とし穴



SIDE 理太




素直と約束したから、教室での俺はここ一週間、胸の裂ける思いで素直に話かけないで頑張っているのにね。



ぽかぽか陽気に包まれた素直は、席についたまま両手で頬杖を突きながら言った。



「平穏……♡」



へー、しあわせそーでむかつくね。



ここんとこ夜は素直はバイト、俺は部活めぐりで全然喋れなかったし、今朝は置いてかれたし。




ひどいよね。


元気でない。素直が足んない。



拗ねるような気分で、紙パックのジュースを吸いあげる。



「はよー、理太ってもう部活決めた?」


自然とつるむようになった悠太が俺の前の席にどっかりと腰をおろした。


「んー、まだ決めてない」


「どこから勧誘されてんだっけ? サッカーとバスケと陸上と……?」


「あと、弓道と柔道と……忘れた」


「あはは、やば。おまえ運動神経キレッキレだもんなぁ」


「一番勧誘されたいとこからは、全然オファー来ないけどね」


「……どこだよそれ!? 何部!?」


「えー……?」



横目で遠くに座る素直を見ると、ぱちっと目が合った。


……すなお部。


そう口パクしてみたら、読めてしまったのか、動揺したようにぎゅるんと前を向きなおす素直。


かわいー。



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