きみのこと、極甘にいじめたい。
そしてやってきた放課後。



日直の最後のお仕事は、日誌を書いて、黒板消して、窓閉めて……。



相方が休みだから、全部ひとりでやるんだーってちょっとめんどくさすぎて机につっぷしたら。



「日誌、アタシが書いたげよっかー!?」



背中から飛び乗るようにして声をかけてきたのは明るさの塊、あさみ。


小柄で茶髪ボブの人懐こい女の子だ。



「いいの?」


「いいよっ。素直だってアタシが日直のとき手伝ってくれんじゃん?」


「それはあさみと喋るついでなのに。ありがとー!」


「いーえー。んーと、今日の感想はー……」



ぶつぶつ言っている声を聞きながら、黒板を消していく。



「ていうか今日さぁ、素直の親戚のお坊ちゃん、丸一日寝てたよねー」


「そうだったー?」


「授業中めちゃくちゃ起こされてたじゃん」


「たしかに」


「たしかに、ってさー、ほんと素直と理太ってぜんぜん仲良くないんだね? 親戚なのにー」



理太のおかげであたしと理太の関係性がバレる心配はなさそうだ。


平穏を……ありがとう、理太。



「親戚なんてそんなもんじゃない?」



「えー、理太みたいなイケメンの親戚いたら迷わず手をだすけどなぁ」


「肉食系」


「うっさい。素直もぽけーっとしてないで恋したらいーのに。バイト先とかいい人いないの?」


「おじさんしかいないよ」


「転職しな?」



日誌も黒板も終えて、あさみと下校しはじめた途中。



「あ!! 窓の鍵しめるの忘れてた!」


「えーよくない? 最悪一日くらい空いてても大丈夫だってー」


「ってわけにもいかないでしょ。あさみありがとね! あたし戻るし、先帰ってて!」


「そ? ばいばーい! また明日~」


「あした~」


手を振って別れ、昇降口にはいり、教室へと戻る。


すると。


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