きみのこと、極甘にいじめたい。
一方、少し離れたリビングにいる理太とお父さんはというと。



「理太くん。誕生日、何か欲しいものはあるかい?」


「いや、特には。お気持ちだけで十分嬉しいです」


「そうは言わずに。でも高校生男子なら、現金のほうが嬉しいかな?」


「いやそんなの、ほんとに悪いんで」


「いやいや! そんなこと言わずに! いくら位がいやらしくないんだろうね?」


「ほんと大丈夫なんで!」


「そうは言わないで!」



堂々巡りの時間を過ごしている。


結局、お父さんはATMに行ってくると旅立ってしまって、理太は困ったように笑って見せた。



……なんか、再婚って言ったらもっとギスギスするかなって構えてたけど、思ったより居心地がよくて……。


まぁ若干ひとり、ヤバい理太はいるけど。


でも急速に、この家族が好きになってる自分がいる。


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