きみのこと、極甘にいじめたい。

……でも、待てよ。


こんなに怯えなくても、今日はお父さんも麻子さんも家にいるんだから、平気じゃん。


家族から離れずに過ごせば、この究極のチャラ男があたしに絡んでくるなんてこと、まずないんだから。



……ふ、考えが甘かったね、理太くん。



勝ち誇った気分で優雅に紅茶を飲み始めたときだった。



理太は向かいに座る両親に、あたしには演技っぽく見えてしまうほど、人懐こい笑みを向けた。


「前に俺、何かで聞いたことがあるんだけど、誕生日っていうのは”両親に感謝する日”なんだって」


へぇ、と頷く二人。


そして、理太がスッとなにかを差し出した。



「だから、これ。俺からの感謝の気持ちです」

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