きみのこと、極甘にいじめたい。
そうして箱から出てきた手のひらサイズの茶色い鉢。
緑でとげとげした、これ。


「……サボテン?」


理太は角度を変えたり、時に電気に向けて掲げたりしながら全貌を眺めている。


ねぇ、もしかして、戸惑ってる? 
サボテン貰って混乱してる?


「……理太、どうした?」


「いや、俺てっきりびっくり箱か何かが入ってると思ってたから、サボテンって突拍子もなくて……、意図を掴むのに時間かかってるっていうか、」



「意図?? え、もしかして嬉しくない?!」


「……んーん。すげー嬉しいよ」



ふわ、と浮かぶ笑み、少し赤い頬。
ほんとに嬉しそうで、あたしまでうれしくなる。


「よかったぁー! ほら、理太って寂しがりでしょ?」



家族がいない日でも寂しくないようなものを……って探したんだ。



「サボテンって枯れにくいっていうし、存在感もあるし、一緒にいたら寂しくないかなって思ったんだ。動物みたいに逃げないから、ずっと理太のそばから離れないしね」



ね、理太にぴったりでしょ?


って、何。
なんでくすくすと笑ってるの、この男……。


「……ップ、あはは……」


ついにお腹抱えて笑っちゃったよ……?

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