アメリカで誘拐された時の脱出方法!
そんな嘘を言いつつ、あたしはアルフレッドに連れられて外に出る。外の空気に触れた刹那、一日しか経っていないというのに自由になれた気がした。

「君、昨日と同じ助手席ね」

アルフレッドはそう言って歩こうとする。それをあたしは「ストップ!」と言って止めた。

「あたし、朝にニュースを見てたんだ。そしたらあたしのことが報道されてた。警察が捜査してるんだって」

あたしが「警察」と言うとアルフレッドは明らかな動揺を見せる。そして「どうしたらいいんだ……」と考え始めた。そこであたしは「あそこに入れたらいいんじゃない?」と車のトランクを指差す。

「車のトランクなら外から様子は見えないよ。だから警察にも見つからない」

「なるほど……。わかった」

アルフレッドはトランクを開けて、あたしを押し込める。トランクの扉が閉まると辺りは暗闇に一瞬にして包まれる。何も外の音が聞こえない。

しばらくすると車がゆっくりと動き出したのがわかった。あとは一回しか訪れない脱出のチャンスを待つだけ。
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