アメリカで誘拐された時の脱出方法!
折れてしまいそうなほど細い体、ぶかぶかしたチェック柄のシャツにズボンという目立たない格好をしたこの男子生徒はアルフレッド・ゲイジー。あたしとは真逆の人間で、教室ではいつも読書をして過ごしている。

アルフレッドが人と楽しく談笑している姿を見たことがないから、声をかけられたことにあたしはかなり驚いていた。あと、アルフレッドのことを友達の一人が「ヤバい奴」って言ってたからな……。

『アイツのスマホの写真、見たことがある?動物の死体の写真しか入ってないんだよ!気持ち悪い!』

たまたまアルフレッドのスマホが見えてしまった友達が言っていて、あたしたちの中ではアルフレッドと関わってはいけないみたいな空気になっていた。関わることは永遠にないって思いながらあたしは話を聞いてたんだけどね……。

「明日香、話聞いてる?」

まるでずっと前から親しい関係のようにアルフレッドは話しかけてくる。あたしは「き、聞いてるよ!」と戸惑いながら答えた。

「友達が先生に呼ばれて待ってるところなの。暇だし音楽でも聴こうかなって思ってたんだけど……」

「ふ〜ん」

自分から訊いたくせに興味なさそうにアルフレッドは答える。あたしが戸惑っていた刹那、アルフレッドはあたしの手からスマホを取り上げてきた。

「何するの!返して!!」

あたしはアルフレッドからスマホを取り戻そうとするけど、アルフレッドは背が高いから頭上に掲げられたスマホにあたしの手は届かない。
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