お隣さんは裏アリ王子
「……水瀬君、変じゃ、ない?」


そう聞くと水瀬君は、そっぽを向いてしまった。


え、変だった?


「カーディガン着せたのは、失敗だったな」


え、カーディガンが変なの?


「じゃあ、脱ぐ」


袖から自分の腕を引き抜くと慌てた水瀬君に止められた。


「いや、脱ぐな」


「だって、カーディガンが変なんじゃ」


もしかして、水着も変とか?


だからその水着が透けて見えるカーディガンを着せるんじゃなかったってこと?


「ちげーよ。その……」


水瀬君は、少し照れながら話す。


「似合ってて、可愛いから。他のやつに見せたくねー」


似合ってるって、言った?


可愛いって言った?


その言葉だけで、もう十分。


もう、帰ってもいい。
< 104 / 231 >

この作品をシェア

pagetop