お隣さんは裏アリ王子
「どうしたの?」


そう行くと、いきなり振り返った水瀬君が自分の着ているパーカーを脱いだ。


「これ着てろ」


「え、なんで?」


「カーディガン脱ぐなんて聞いてない」


少し、不機嫌そうだった。


「だって、濡れちゃうの嫌だし」


「じゃあ、これ着てろよ。濡れるほどの丈もねーし。濡れても別にいいし」


それでも迷っていると、水瀬君は最後に言った。


「さっきも言ったろ。真奈の水着、他のやつに見せたくねー」


「わかった」


そんなこと言われたら、逆らえないじゃないの。


水瀬君のパーカーに腕を通すとやっぱり大きい。


少し折って、腕の長さはちょうどいいくらいにしたけど、気を抜くと肩のところが落ちてきそう。
< 106 / 231 >

この作品をシェア

pagetop